FXの経験者であれば一度は聞いたことがあるCFD取引。外国為替以外の様々な対象に投資できるCFD取引が注目されています。
CFD取引が、いつどこではじまったのか少し調べてみました。
CFDの原型はバケットショップ
CFDの原型と言われている取引があります。はじまりの舞台は1870年代のアメリカです。当時は現物の株式取引をするために大きな元手が必要でした。
しかし、当時のアメリカにはバケットショップと呼ばれる取引所があり、庶民が小遣いを投じて株式取引の真似事ができたことから注目を集めました。
バケットショップとは?
1958年のニューヨークタイムズによると、以下のように解説されています。
証券または商品の現在の為替価格に基づいて、注文またはオプションの形式で賭けを行うための施設を備えたオフィス。しかしながら、実際の売買はありません。
つまりバケットショップは、人々がギャンブルに行くような場所であると考えられていました。
当時は実際の言葉としては存在しませんが、実質CFD取引と言えます。実際の売買がない=差金決済取引の先駆けということになります。
バケットショップの問題点
バケットショップでは、庶民が小遣い程度のお金で大金を稼ぐチャンスがありました。
しかし客が勝った場合、支払いを拒否されることも珍しくありませんでした。何故ならバケットショップは公的な市場ではなく、私設の賭場だったからです。
バケットショップの多くは、マフィアが運営に関わっていました。
当然、運営する目的は儲けるためですから、庶民から金を巻き上げたいわけです。つまり、客が負けることを前提に運営していたといっても過言ではありません。
その中で、客が調子よく勝ち続けると面白くありません。そうなると、店側は暴力にものを言わせて理不尽に支払いを拒否しました。
多くの客が悔しい思いをする中、度胸としたたかさを兼ね備えた、ほんの一握りが成功を勝ち取れるような世界だったのです。
バケットショップの終焉
その後、バケットショップは1900年代初頭の株式市場暴落の主な原因とされ、違法扱いされてしまいます。
それでもバケットショップは活動を続けていました。しかし、ついに1922年にニューヨーク議会は、バケットショップを禁止するマーティン法を通過させ、バケットショップは短い歴史に幕を閉じたのです。実際には1920年代前半までは、多くのバケットショップが摘発され、事実上排除されました。
バケットショップの取引の特徴は、CFDの原型と言えますが、取引をする環境は大きく異なり、アンダーグラウンド的なものだったのです。
CFDはイギリスで誕生
アメリカで1920年代にバケットショップが終焉してから、相当な期間が経過しました。
舞台は、世界経済中枢の一角を担うイギリスに移り、1990年代のイギリスでCFDが誕生します。誕生した当時のCFDは、主に機関投資家向けであり、一般的ではありませんでした。
CFDが普及した理由は、印紙税が不要なことが影響していると言われています。
機関投資家にとって、印紙税が不要であることは取引コストが低く抑えられ、メリットが大きかったことから利用が広まりました。
CFDはインターネットの普及と共に世界へ
ちょうどCFDの誕生は、インターネットの普及と時代が重なっていました。
インターネットが急速に普及すると、個人投資家にもCFDが浸透していきました。バケットショップの時代と明らかに違うのはネットの有無です。
アメリカでは1997年よりCFDのサービスが開始されています。その後CFDは、世界各国に瞬く間に広がり、知名度の高い金融商品の地位を確立しました。そして、2000年代に入り、日本にもCFDは上陸しました。