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日本ではストリーミングが流行っているのか?

近年、日本でのオンラインストリーミングサービスの人気が大幅に高まっています。

特にパンデミックが始まって以来、「ストリーミング」や「サブスク」といった言葉を耳にしたり、目にすることも多くなりました。日本はインターネットの普及率が高いにも関わらず、欧米諸国に比較して、ストリーミング形式のコンテンツ配信を受け入れるのが比較的遅かったと言われています。では、日本のストリーミングサービスの現状はどのようになっているのか、インターネットが日本のメディアに与える影響を踏まえて考察します。

 

インターネットの影響力とメディア

今や生活に欠かせないインターネット。オンラインショッピングからはじまり、オンラインミーティングやオンラインカジノ、オンライン診察など、インターネットの台頭以来、ウェブ業界は様々な躍進を遂げてきました。その中でも、ストリーミングサービスの成長は、現在の日本のメディア業界の発展を象徴しているものです。

 

日本のメディアは長年にわたって、他国と比較して、従来のテレビやラジオ、新聞のような物理メディアに依存してきました。 今や、テレビ放送や新聞などの多くの伝統的なメディアが停滞、または衰退しています。事実、新聞の新規契約者数は減少にあり、テレビの視聴率も伸び悩んでいる現状があります。

その一方で、ウェブマガジンやネット配信動画などの、インターネット関連メディアは着実に成長を続けています。2019年には、オンラインメディアコンテンツ市場は、メディアコンテンツ市場の全体の3分の1以上を占める結果となりました。 

 

こうして見ると、まだ、ストリーミングサービスは従来型メディアに比べて規模が小さいように感じますが、大きな成長の可能性がある市場が広がっています。ストリーミング市場の成長は、スマホの普及とインターネット接続の高速化などに伴って、今後も更に進んでいくことが考えられます。実際、ニュース番組やバラエティ番組がインターネットとテレビで同時配信されていたりもし、既存メディアからオンラインメディアへの移行は、オンラインショッピングやオンラインカジノ、オンライン診察など他の部分でも見られる移行段階と同等に見なすことができます。

 

日本のストリーミング市場

日本におけるストリーミングサービスは、現在非常に成長率の高い市場です。特にユーザーが多いジャンルが動画と音楽です。有料動画のストリーミング市場の規模は、2017年から2020年の3年間で倍増し、2020年には約3,710億円にも達しました。また、有料音楽ストリーミング市場では、2017年には238億円だったのが、なんと2020年には50倍以上にも跳ね上がるという、驚異的な伸びを記録したのです。

 

2000年代半ば以降、YouTubeやニコニコ動画などの無料ストリーミングは、日本のビデオストリーミングにとって欠かすことのできない2大巨頭となっています。しかしその反面、有料のサブスクリプションベースのビデオストリーミングサービスは、この当時はまだ欧米諸国ほど普及していませんでした。

2011年から「Hulu」が日本のビデオストリーミング市場に登場し、2015年には「Netflix」と「Amazonプライムビデオ」が参入したことによって、この市場での注目度がぐんぐん上昇していくこととなったのです。

ストリーミング市場において日本は諸外国よりは後発で、ストリーミングが軌道に乗るまでに時間がかかりましたが、有料動画配信サービスの利用者は近年大幅に増加しています。5Gの登場によって通信速度が爆速になったりなど前述したような技術の進歩に加え、スマホでの動画視聴や、パンデミックによって在宅時間が増えたりと、生活様式が変わったこともストリーミングの急成長を後押しする要因だったのでしょう。

実際、2019年には、「U-Next」「dTV」「WOWOWオンデマンド」などのサービスが続々と開始され、現在、「TVer」「Abema」「GYAO!」など現在も新しいサービスが開始されています。さらに、このような多くのストリーミングサービスでは『30日間無料!』などの、無料で試せるオプションが提供されています。近年のサブスクリプションサービスの高い成長率は、このような市場での競争激化も、一部起因しているともいわれています。

 

ビデオストリーミング

それぞれのビデオストリーミングサービスにはオリジナルコンテンツがあったり、多くのジャンルが用意されていたりして、ユーザーの心を掴んでいます。特に、日本で最も人気のある有料ビデオストリーミングのジャンルランキングによると、日本のユーザーは、アニメのオリジナルコンテンツに対する需要が24.5%となっており、諸外国の6.0%と比較すると実に4倍という、遥かに高いというデータがあります。これはサブカルチャー文化のベースがある「日本ならでは」と言えますね。

また同時に、海外・国内映画を視聴しているユーザーの割合も高くなっています。

 

また、2022年5月に実施されたオンライン調査によると、日本で利用されている有料動画ストリーミングサービスのうち、「Amazonプライムビデオ」を全回答者のうち3分の2以上が利用しており、「Netflix」を使用しているユーザーが24%と回答しています。

コンテンツ量の多いサービスは人気が高いというのは言うまでもありませんが、ストリーミングサービスによるオリジナルコンテンツの充実度も重要なポイントと言えますね。特に「Netflix」は、競合他社よりも優位に立つために、地元のプロデューサーとタッグを組み、新規コンテンツの制作に力を入れています。

 

 さらに、同調査では約29%の人が過去3か月以内に有料のオンライン動画ストリーミングサービスの利用を開始したとのデータもあり、ここ数年連続で躍進を続けていることがわかります。市場は力強い成長をしており、今後も益々競争は激しくなっていくことと思われますね。

 

音楽ストリーミング

現在、サブスクリプションの音楽ストリーミングサービスは、日本で最も利用されている音楽鑑賞の1つになっています。日本の音楽市場は世界的にも大きな市場の1つですが、実は、消費者は音楽そのものにお金を使っているという訳ではないのです。ここで個人の消費者に関して言えば、CDやグッヅなどの物販商品が最大のカテゴリを構成しています。この理由の1つに、日本のアイドルカルチャーマーケティング戦略があります。CD購入者限定イベントの参加券や、アーティストの握手券のような交流したりできるチケットが含まれたCDを販売する傾向があり、このため日本では音楽ストリーミングが海外に比べて発展がおくれていたのです。

 

デオストリーミングの人気が高まるのと同様に、音楽ストリーミング市場も発展しています。もともと、日本ではストリーミング市場の発展は厳しいとの見方がされていました。というのも、日本の音楽市場は細分化されているので、ストリーミングサービスのライセンス契約の為に、多くの音楽レーベルと交渉しなければいけなかったからです。しかし、CD市場は徐々に縮小しつつあることも事実であり、レーベルの消極的姿勢にはCDや物販の代替の収入源が必要になることも考える必要がありました。

そんな中で、2015年に「Apple Music」「Google Play Music」「Amazon Prime Music 」が日本の音楽ストリーミング市場に参入したのです。それに続いて2016年には「Spotify」が登場し、2018年に「YouTube Music」が参入しました。その後、日本国内のプレーヤーである「LINE Music」「AWA」「うたパス」「d-Hits」などが続々とサービスを開始しました。これによって競争が激化し、音楽ストリーミングサービスは近年、日本の消費者にますます採用されるようになっています。その結果、ストリーミング収益は増加し、2018年には初めてストリーミングの収益がダウンロードを上回ったのです。そして2020年には、ストリーミングの売上はデジタル音楽の売上全体の4分の3を占めています。